はなばす号の素敵なお話②

高齢者QOL向上のための「はなばす号」セラピー。五感で花を味わい、自由なアレンジメントを作る。

花のチカラで“ゴトーさんが動いた! “

参加者の中にゴトーさんはいた。

サイズダウンする高齢者が多い中、発話もなく、動かないゴトーさんは、車いすの限界を感じさせるほど恰幅がいい。

「この花の色、きれいねぇ…あっ、これ、甘い香りがするよ!」

ゴトーさんの作品は、セラピストが半ば一方的に語りかけながら、彼女の手を取って作ることになる。

皆さん見て!ゴトーさん、こんな素敵な作品できました!

セラピーの肝、「作品褒め合いっこ」中のその時、全員が息を飲んだ。

ゴトーさんが震える両腕を自ら動かし、時間をかけて顔の前で両手の指を合わせたのだ。

じっとセラピストを見つめ訴えるゴトーさん。

「……こちらこそ、ありがとう!」

セラピストの声を合図に彼女を称賛する拍手が起こる。

105歳のゴトーさん、極上のコミュニケーションをありがとう。